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コラムColumns攻守に輝く最後方の砦 ~浦和・西川加入前後比較~。

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攻守に輝く最後方の砦 ~浦和・西川加入前後比較~
2014-05-14 17:00 RSS

昨季はリーグでトップの66ゴールを挙げたものの、18チーム中6番目に多い56点を奪われたことが6位に終わった原因となった浦和。しかし、チームは大きく変貌を遂げ、13節終了時点で失点が唯一の1桁台である9、クリーンシートは8と、堅い守備を武器に2位に付けている。その要因の1つがオフシーズンに加入した西川の存在といえるだろう。そこで、今回は日本でも屈指のGKである彼にスポットを当ててみたい。

まず、単純に失点数と被シュート数を昨季と比べてみよう。前者は1試合当たり1.6から0.7へ、後者は12.1本からリーグで2番目に少ない10.6本へそれぞれ減少していることが分かる。開幕前からチームとして「守備」強化を目指し組織を構築してきたことが、結果につながっているといえるだろう。

さらに、シュートを打たれた時に最後の砦となっているのが西川だ。PA内から打たれたシュートのセーブ率を見て欲しい。加藤と山岸がゴールマウスを守っていた昨季が52.5%であったのに対して、西川が守る今季はリーグ全体で2番目に高い69.6%と大幅に上昇していることが分かる。8節の川崎F戦や13節の大宮戦の決定的なピンチの場面で見せたセーブを覚えている人も多いはずだ。シュートを打たれる回数が減少したこと、シュートを打たれても西川がセーブできていることが失点が減った理由といえるのではないだろうか。

一方、PA外からの失点は2。9節の柏戦では終了間際にPA外から田中に見事なミドルシュートを決められて黒星を喫した。14節で戦うC大阪のフォルランは、PA外のシュートが24本でリーグ2位、枠内率は非常に高い50.0%とミドルシュートを非常に得意としている。それだけに、彼のフィニッシュをセーブできるかは、次節の見どころの1つといえるだろう。

安定したシュートストップでチームに貢献する西川だが、彼のもう1つの魅力がキックの正確さにあることは誰もが知るところだろう。例えば、ゴールキックの成功率を見ると14年は70.4%とリーグで最も高く、昨季と比較をしても5%以上高い。最終ラインへ短くパスを出して再開することが多いのは確かだが、そのスタイルが13年も同様であったことを考えれば、彼が攻撃の一歩目としてより貢献していると読み取れる。

さらに、それは流れの中でのパス(セットプレー、キャッチ後のパスを除いたパス)を見た時でも変わらない。1試合当たりのパス数はほぼ同数だが、成功率を見ると今季の方が高く、とりわけロングレンジのパスやタッチライン際へ出すパスの精度が非常に高いことが分かる。サイドにポジションを取る梅崎や宇賀神へ長いボールを正確に蹴り、スタジアムが沸く場面は幾度となくあったはずだ。

失点数の減少や安定した戦いが、GKの活躍だけでなくチーム全体として守備の改善に取り組んできた結果であることは間違いない。しかし、攻守における西川のプレー振りがそれに影響を及ぼしていることも事実だ。14年ブラジルW杯のメンバーにも名を連ねた彼が変わらぬハイパフォーマンスで最後方に君臨し続ければ、タイトル奪取の可能性は高まるだろう。

関連リンク


浦和レッズ 2014年シーズンサマリー
http://www.football-lab.jp/uraw/

浦和レッズ 2013年シーズンサマリー
http://www.football-lab.jp/uraw/?year=2013

西川周作 選手データ
http://www.football-lab.jp/player/400563/

2014-05-14 17:00 RSS
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