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トラッキングデータから見るJリーグとブンデスリーガの違いとは?
2016.12.16

 2016年の明治安田生命J1リーグが終了し、トラッキングデータも全306試合で無事に取得することができた。1試合平均の総走行距離では117.985kmのサガン鳥栖が、1試合平均のスプリント回数では190回の湘南ベルマーレがトップとなった。

 トラッキングデータは海外のリーグでも取得されており、リーグ間の走りの量と強度の比較は気になるところである。量については、総走行距離を比較することが容易に可能だ。しかし、強度については「スプリント」の計測基準が各リーグで異なっているため、各リーグで発表されている数字を単純に比較することはできない。

 そこで今回は、スプリント回数ではなく速度域別の走行距離を比較することで、Jリーグとブンデスリーガ(2015-16シーズン)の走りの強度を比較してみたい。なお、ブンデスリーガのトラッキングデータはオフィシャルプレミアムパートナーであるエルメス社が提供しているサイト(https://fussball.hermesworld.com/spieldaten)から引用している。

 なお、リーグの開催時期が異なり、特にJリーグは6月と7月の暑い時期の試合があるため条件が同一というわけではないが、今回はあくまでトラッキングシステムで取得された実測値で比較を行うこととする。

 まずはリーグ単位で、各速度域別の走行距離を比較してみよう。

 総走行距離では、ブンデスリーガがJリーグをやや上回る結果となった。速度域別にみると、時速24km以上の走行距離はほとんど変わらないが、時速21km~時速24kmと時速14km~時速21kmの速度域では、Jリーグの走行距離はブンデスリーガに比べて約15%少なくなっていることが分かる。

 より詳しく見るために、両リーグ各チームの速度域別の走行距離をランキング形式で見てみよう。便宜的に上位18チームを左半分に、下位18チームを右半分に表示。また、リーグの区別がつきやすいように、ブンデスリーガのチーム名を赤文字で記載する。

 まずは、総走行距離のランキング。
 ブンデスリーガの全チームを抑えて、サガン鳥栖がトップとなった。前述の通り、リーグ全体の平均では大きな差は無いが、Jリーグのほうが総走行距離の長いチームと短いチームの差がやや大きい。

 次に、トラッキングシステムで最上位の速度域である、時速24km以上の走行距離のランキング。

 2位に湘南ベルマーレが、3位に鹿島アントラーズが入っており、上位18チーム中半分の9チームがJリーグのチームということからも、ブンデスリーガのチームに引けを取っていないことが分かる。
また、この表から推察すると、ブンデスリーガの選手のスプリント回数をJリーグと同じ計測基準(時速24km以上で1秒以上走行)で測った場合、かなり近い数字になるのではないだろうか。

 続いて、時速21km~時速24kmでの走行距離のランキング。
 この速度域では、これまでのランキングと様相が一変する。一目見て分かるように、上位18チームに入ったJリーグのチームは、4位の湘南ベルマーレだけである。リーグ間で明らかな差があると考えられるともに、Jリーグ内での湘南ベルマーレの異質さが浮き彫りになっているとも言える。

 時速14km~時速21kmでの走行距離ランキングでも、先ほどと似た傾向が見て取れる。
 実に上位18チーム中16チームがブンデスリーガのチームである。さらに、ブンデスリーガのチームで最下位はSVダルムシュタット98であるが、それを上回ったJリーグのチームはわずか3チームという結果になった。

 最後に、時速14km未満での走行距離ランキング。

 これまで見てきたように、総走行距離がそれほど変わらず、時速21km~時速24kmと時速14km~時速21kmの速度域で差がついたことから、Jリーグのチームが上位を占める結果となった。

 このように、Jリーグとブンデスリーガの間では、総走行距離と時速24km以上での速度域では大きな差は無いが、時速21km~時速24kmと時速14km~時速21kmの速度域では明らかな違いがあることが分かった。その要因が何かまではこのデータから言及することはできないが、今後Jリーグのチームの走りの量と強度を向上させていくうえで1つのヒントになるのではないだろうか。

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