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平均ポジションデータの見方
2019.5.17

データといえば数値やグラフを思い浮かべる方が多いかもしれないが、フィールドを背景とした散布図もサッカーにおけるデータ表現の1つだ。その代表例として近年ハーフタイムや試合後に掲載されるようになった「平均ポジション」がある。
その平均ポジションデータはどのように作られ、何を読み取ればいいのか、いくつかの事例とともに紹介しよう。

平均ポジションデータには、「オンザボールの位置から計算されたもの」と「トラッキングデータ取得によるオフザボールも含めた位置から計算されたもの」の2種類があり、現時点では前者を利用するケースが圧倒的に多い。まずはそのオンザボールの平均ポジションデータについて説明しよう。こちらの場合、言葉の通り「選手がボールを使ったプレー」に関与したケースから計算しており、「選手がボールを使ったプレー」はパス、トラップ、ドリブル、シュート、クリアといったプレーを指している。1選手のプレーの数は試合によって異なるが、多い時は100を超えることもあり、4/6のFC東京vs清水戦における東慶悟の全プレーをフィールド上に表すと右図のようになる。この座標を平均化して1つのポジションにした点が、その試合におけるその選手の平均ポジションだ。オンザボールの場合、誤解を避けるために「平均プレー位置」と呼称する場合もある。

各選手の点の大きさをプレー数で表現する形や、線や矢印を利用して各選手間でパスを通した数も併せて表すケースもある。この場合のパスの線は、平均ポジションに対して引いたラインなので、その選手間のパスの距離や方向を表しているわけではない点は注意したい。

平均ポジションはフォーメーション図と近い配置になることが多いが、プレーの数やエリアに偏りがあった場合、崩れた配置となることがある。これはサッカーのスタイルの影響によるものなので、散布の配置バランスを気にする必要はないだろう。

前半45分間において自陣へのパスもしくは敵陣へのパスが多かった試合と少なかった試合の計4つの事例を図に掲載した。①の例だと青木拓矢が最終ラインに吸収されているようなポジションとなり、最前列の興梠慎三も低い位置となった。敵陣へのパス成功が多い②の例だと、多くの選手が敵陣に入り、最前列に選手が並ぶような配置となっている。

逆に自陣へのパス成功が少ない③のような事例は形としてはいびつになるが、前線にボールが渡ってさえいれば、永井、前田が攻撃のターゲットであることが分かりやすく反映される。④のように敵陣への成功パスが少ない場合、多くの選手が自陣に配置される結果となった。

また、試合中に選手のポジションを変更するチームも変わった形になりやすい。特にサイドの選手が担当サイドを変えた場合、特にプレーが多かったわけではない中央の位置が平均ポジションとなってしまうので注意が必要だ。

オンザボールからの平均ポジションは、その名前の通りボールに触れていない時のポジショニングに関しては計算の対象とならないため、守備時の配置をとらえることができないが、トラッキングデータが取得されている場合、オフザボールの位置データも計算に加えられるため、味方ボール保持時と相手ボール保持時で平均ポジションを分けることが可能となる。

上部で掲載した自陣へのパス成功が少なかった松本の平均ポジションも、オフザボールを加えるとフォーメーションの形に近くなる。自陣へのパス成功が多かった浦和も同様だ。右図を見た上で左の図を見ると、取っていたポジションと実際のプレー位置との違いも見えてくる。

また味方保持、相手保持だけではなく、さらに状況を細分化して相手の守備ブロックに進入する前のビルドアップ時の平均ポジションなど、シチュエーション毎にデータを取り出すことも可能だ。

現在はオンザボールデータが主流だが、将来はオフザボールのデータも加わり、リアルタイムで状況に応じたポジショニング傾向を把握できるようになるかもしれない。

Football LAB 八反地 勇

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