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コラムColumnsEURO旅日記② 『ロシアVSギリシャ@ワルシャワ国際競技場』。

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EURO旅日記② 『ロシアVSギリシャ@ワルシャワ国際競技場』
2012-06-25 00:00 RSS

~大群のロシアサポーターを沈黙させたカラグニスのシュート~

EURO2012も予選リーグが終わり、ほぼ順当に強豪チームが決勝トーナメントに進みました。本大会は番狂わせが少ないですが、ジャイアントキリングとなった試合を挙げるとすれば、ギリシャの決勝トーナメント進出なのではないでしょうか。まずはスタジアム観戦1戦目ということで、ポーランドの首都ワルシャワで行われたロシアVSギリシャの模様について、写真を中心にお届けできればと思います。

ポーランド国旗の赤と白をモチーフにデザインされた巨大スタジアム

ワルシャワ国際競技場は、ワルシャワ中央駅から約5キロにあるスタジアム。普段は電車やトラムで行くみたいですが、お客さんは歩いてスタジアムに向かっていました。そして大きな橋を渡ると、次第に威圧感のある巨大なスタジアムが見えてきました。

【ワルシャワ国際競技場 スタジアム正面前】

試合開始2時間前のスタジアムの様子

中に入るとロシアのレプリカユニフォームやロシア国旗をまとっている人がたくさんおり、完全にロシアホームのモード。「Россия(ロシア)!Россия!」という掛け声でスタジアム周辺を練り歩いておりました。試合開始直前には写真の座席がほとんどロシアサポーターで埋まりました。ただロシアサポーター全体で声が出ていたとは言い難く、ロシアユニフォームを着たポーランド人も多かったのか「Polska!」というコールが最もスタジアム内で盛り上がったのはご愛嬌。

孤軍奮闘のギリシャサポーター

ギリシャサポーターは下の写真の一角のみ集まっておりました。ただ、少ない人数ながら、試合前から「GREECE!GREECE!」と大きな声が出ていて、ロシアよりも存在感がありました。恐らく自国から来た人が多かったのではないでしょうか。

さて、肝心な試合です。ロシアはアルシャビン(ゼニト)、ロシア次世代のエース候補ザゴエフ(CSKAモスクワ)を中心にショートパス主体のサッカーで序盤からギリシャゴールを攻め、何度もゴールを脅かしました。しかしシュート精度が悪く何度もチャンスを逃す展開。一方ギリシャは伝統の鉄壁守備で7人がゴール前に構え、攻撃は長身FWのサマラス(セルティック)を中心に3人でカウンター狙いという構図。前半は膠着状態で終わるかと思いきや、終了間際にロシアDFのパスミスをEURO04優勝経験者であるカラグニス(パナシナイコス)がボールを奪い、放ったシュートがゴールの左すみに突き刺ささりました。沈黙する大群のロシアサポーター、少数精鋭ながら狂喜乱舞するギリシャサポーターという波乱の展開へ。
ところで今大会は決勝トーナメント進出のルールが普段と異なり、勝ち点が並んだ場合は得失点差よりも当該チーム同士の対戦で勝ったチームが勝ち進める方式となっています。ギリシャがロシアに勝つと勝ち点が4で並び、得失点差ではロシアが勝っているのですが直接対決でギリシャが勝っているので、このまま勝てばギリシャが決勝トーナメント進出ということになります。
ここからはギリシャのお家芸。FWサマラスを前線一人残し、9人でゴール前に鉄のカーテンを引き、終了の笛を待ち続けました。ロシアはそれでもつないで崩そうとしましたが、横パスが多く、縦に早い攻撃が少なかったため、ギリシャにとっては守りやすかったと思います。シュート数がロシア25本に対し、ギリシャはわずか5本。支配率がロシアが62%に対して、ギリシャが38%というスコアが試合内容を物語っています。試合は多少退屈な内容になってしまいましたが、見事ギリシャがジャイアントキリングを達成。勝利後歓喜するギリシャサポーターや選手との掛け合いは印象的でした。
今大会の方式は、得失点差よりも直接対決の成績が勝ち抜けに大きく左右するため「まずは負けてはいけない」という心理が働いた予選リーグだったと思います。ロースコアのゲームが多かったのはその影響が大きかったのではないでしょうか。得失点差の方が大事だとリスクを犯して攻撃するため、わかりやすくスリリングな展開になるでしょうが、この辺は大会終了後に検証されるポイントかと思います。

※詳細な試合データはこちら


 
Text by 木下陽介

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