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コラムColumns「欧州で結果を出してから注目する」ではもったいない。今、見たい10代の選手たち。

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「欧州で結果を出してから注目する」ではもったいない。今、見たい10代の選手たち
2019-11-01 19:00 RSS

堂安律冨安健洋鎌田大地…若くして欧州へ渡り、各国リーグで評価を高める日本人選手が増えている。以前はJリーグ内で抜群の実績を残す、あるいは日本代表としてプレーすることで欧州挑戦の切符をつかむのが定石だったが、そのロードマップは年々多様化。
冒頭に挙げた選手たちも、決してJリーグ内で盤石の地位を築いていたわけではない。それでも、厳しい環境に身を置いて結果を出すことで大きな自信を付け、飛躍的に成長。今となっては彼らのプレーを国内かつ目の前で見られるのは日本代表の一員として凱旋するタイミングでのみとなった。
ただ、彼らは10代の頃にプレーしたJリーグの舞台でも才能の片鱗を見せていたし、言うなれば「毎週末に目の前で観戦できる選手たち」だった。
若い、というだけで騒ぎ立てるのは気乗り薄だが、「欧州で結果を出してから注目する」では実にもったいない。

というわけで、今回は今見ておきたい10代の選手たちを紹介したい。
はじめに、過去7年間を振り返り、各シーズンで全体の3分の1以上のプレータイム(※1)を得ていた選手の中から10代の選手(※2)に絞ってリストアップしてみた。

すると、やはりその後大きな飛躍を遂げている選手の名前が並んだ。

※1:各シーズンで全体の3分の1以上のプレータイム(J1の場合は90分×34試合÷3=1020分以上の出場)
※2:10代の選手(粗放ではあるが、2019年シーズンの場合は2000年1月1日以降に生まれた選手)

図1:過去シーズンJ1出場時間の多い10代の選手

図2:過去シーズンJ1出場時間の多い10代の選手

※図内の青字(選手名)は日本代表招集歴のある選手

2018シーズンでは鹿島アントラーズからバルセロナ(スペイン)へ移籍した安部裕葵や、名古屋グランパスからAZ(オランダ)へ移籍した菅原由勢が出場時間を延ばし、2015シーズンにはサガン鳥栖からフランクフルト(ドイツ)に移籍した鎌田大地、2013、14シーズンには現在日本代表のエースともいえる南野拓実がいる。



図3:過去シーズンJ2出場時間の多い10代の選手

図4:過去シーズンJ2出場時間の多い10代の選手

J2の過去データを振り返っても、毎シーズンのようにその後大きく躍進したプレーヤーの名前が並ぶ。その筆頭といえるのが、瞬く間に日本代表でレギュラーの座をつかみ、セリエAでも期待の若手として注目を集める冨安健洋

彼にとってアビスパ福岡でレギュラーの座をつかんだ2017年、そして同年に開催されたU-20ワールドカップでの経験がその後の急成長に多大な影響を与えたことは言うまでもない。

また、表には挙がっていないが、2016年の堂安律はJ3のガンバ大阪U-23で21試合出場10得点7アシスト、J1ではトップチームで3試合出場(トータル25分)0得点1アシストの成績を残していた。翌年にはトップチームでの出番を増やし、その夏にはフローニンゲン(オランダ)へ移籍。その後の活躍ぶりは皆さんもご存知の通りだろう。

この世代にとって試合経験から得るものの大きさを感じざるを得ない。

次に、今季のJ1、J2の中で出場時間の多い10代の選手を過去シーズンと同条件でピックアップしてみた。

図5:2019シーズンJ1出場時間の多い10代の選手

今季のJ1ではやはり久保建英に触れないわけにはいかないだろう。FC東京では攻撃の中心として卓越したパフォーマンスを発揮し、その後はA代表デビュー、スペインへの挑戦と世間の関心を一挙に集める存在となっている。

その他では、サガン鳥栖の松岡大起、湘南ベルマーレの鈴木冬一が安定して出場機会をつかんでいるが、セレッソ大阪の瀬古歩夢も注目に値するセンターバックだ。チームではマテイヨニッチ木本恭生に次ぐ3番手という位置付けとなるが、今後も出場機会を自ら手繰り寄せることができれば、右肩上がりの成長が期待できる。

図6:2019シーズンJ2出場時間の多い10代の選手

J2では、アカデミーから毎年のようにレベルの高い選手を輩出している東京ヴェルディの山本理仁森田晃樹は注視しておきたい。また、レギュラー定着には至っていないものの、出場した試合では存分に個性を発揮している横浜FCの斉藤光毅も一気にブレイクする可能性を秘めているアタッカーだ。


過去に10代で多くのプレータイムを得た選手たちと同様に、現在Jリーグでプレーしている10代の選手たちの中にも、試合経験を積むことが自信につながり、今後短期間で急激な進化を遂げる選手が存在していても何ら不思議ではない。
近年、拍車が掛かっている海外移籍の若年化に代表されるように日本人選手の成長モデルが新たなフェーズに突入したのであれば、我々サッカーファンの見方もシフトする必要があるのかもしれない。大きな可能性を秘めている選手たちに目を付け、その成長を見守り、応援する楽しさを味わっていただけると幸いだ。

佐伯 渉

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