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精度の高いキッカーは?2019J1リーグのコーナーキックを振り返る
2020-06-23 17:00 RSS

1つのボールをめぐって攻守が頻繁に入れ替わるサッカーの中でも、セットプレーは攻撃側と守備側が完全に分かれ、攻撃側が意図的に有利な状況を作り出すことができる特殊なプレーである。この静的なプレーにおいてキッカーの重要性は言うまでもないだろう。特にコーナーキックは相手ゴールに近付くことができるので、キッカーが狙ったところにボールを届けることが得点を奪えるかどうかに関わってくる。

そこで、2019年の明治安田生命J1リーグのコーナーキックをキッカーに焦点を当てて振り返ろうと思う。なお、コーナーキックにはショートコーナーや逆サイドへの大きな展開など様々な戦術があるが、今回はペナルティエリア内を狙ったコーナーキックのクロスのみを対象とする。

コーナーキッククロスデータ

【2019年最もラストパス数の多いキッカーは?】

 
ラストパス数では永戸勝也が40本で最も多く、割合も31%でJ1平均(18.9%)より10%以上高い数字を記録。2019年の永戸のアシスト数10回のうち8回はコーナーキックによるアシストであり、仙台にとって大きな武器となっていた。

2位の福森晃斗は、コーナーキック数はリーグ1位、ラストパス数、アシスト数はリーグ2位を記録しており、札幌のセットプレーの重要なピースであったといえる。


それでは、1位の永戸と2位の福森をピックアップしてさらにデータを見ていこう。

永戸、福森のCKからシュート

【最もシュートを打った選手は?】


永戸のコーナーキックから最もシュートを放っていたのはシマオマテ。1本差で平岡康裕、ハモンロペスが続いている。この3人でチームの55%を占めており、仙台では永戸が蹴るコーナーキックのメインターゲットとなっていた。

一方、福森のボールから最も多くシュートを放っていたのは進藤亮佑。2位のキムミンテと比較しても倍の本数であり、福森と進藤の組み合わせでのシュート数は10本にもなる。これは、キッカーとターゲットの組み合わせにおいて2019年J1リーグで最多の数字であった。

【シュートエリアは?どこを狙って蹴っていたのか?】

次に両選手のキック時における、シュートエリアの割合を図に表した。中央のエリアの幅はゴールポスト間の幅であり、〇は得点者のシュート位置を表している。

■左サイドからのコーナーキック

左サイドからのコーナーキックのシュート・ゴール傾向

左利きの両選手が、左サイドから蹴るボールは、通常ゴールから離れていく軌道を描くことが多い。図を見ると、中央エリアへのキックの割合が永戸72%、福森66.7%で両選手とも最も高くなっている。また、この中央エリアから両チームとも得点を奪っていることも図から分かるだろう。


■右サイドからのコーナーキック

右サイドからのコーナーキックのシュート・ゴール傾向

左利きの両選手が右サイドから蹴るボールは、通常ゴールに近付いていく軌道を描くことが多いが、図を見ると左サイドからの傾向とは異なり、両者の違いが見てとれる。
永戸は、ゴール前エリアや、ファーサイド(ボールから遠いサイド)の割合が高く、福森に比べてニアサイド(ボールに近いサイド)の割合も高い。そして得点はゴール前やニアサイドで多く奪っている。

一方、福森はニアサイドの割合が低く、中央やファーサイドの割合が高い。なお、得点はすべて進藤が中央からファーサイドのエリアで奪っている。

もちろん、シュートしたエリアのみ集計しているので福森がニアサイドを狙っていないということは全く言えないのだが、両者の違いはチームや個人としての特徴を表しているかもしれない。

今回は、コーナーキックのキッカーに着目し、「なぜ」については言及せず事実をデータから振り返った。まもなく再開・開幕する2020年Jリーグでは、今コラムでは触れなかった「なぜそのようなキックをしたのか?」「なぜそこを狙ったのか?」といった要因を考えながらコーナーキックに注目してみてはいかがだろうか。

フットボール事業部 高橋 朋孝


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