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コラムColumns【Stats×Twitter分析 #2】東京五輪サッカー男子 日本代表 vs メキシコ代表。圧倒的な守備力に加え、ビルドアップにも貢献した遠藤航選手に大きな反響!。

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【Stats×Twitter分析 #2】東京五輪サッカー男子 日本代表 vs メキシコ代表。圧倒的な守備力に加え、ビルドアップにも貢献した遠藤航選手に大きな反響!
2021-07-27 14:00 RSS

近年、サッカーはゴール、シュートなどの他、ドリブルや時系列でのボールポジションなど様々なデータが取得可能になっている。これらのデータをファン・サポーターのTwitter上の反応と掛け合わせてみることで、試合展開ごとの盛り上がりについて分析し、サッカーの新しい観戦視点を模索していく。
今回は2021/7/25(日)に行われた東京五輪サッカー男子日本代表vsメキシコ代表を取り上げる。(以下、U-24日本代表・ U-24メキシコ代表)

試合概要

[東京五輪 グループリーグA組第2節]
U-24日本代表 2-1 U-24メキシコ代表/7月25日(日)/埼玉スタジアム2○○2
この世代のメキシコは2012年のロンドン大会の準決勝で日本を破り、金メダルを獲得している強豪国。リベンジマッチとも言える一戦は、前半6分に久保建英選手が得意の左足で先制。その後、前半11分にはペナルティーエリア内で相馬勇紀選手が得たPKを堂安律選手がしっかり決め、2-0で試合を折り返す。後半に1失点を喫するもリードを守り切り、グループリーグ2戦連勝を決めた。

データ取得概要

[スタッツデータ]

試合のスタッツデータは、データスタジアム株式会社によって計測・取得された、各時刻にどの選手がどのようなアクション(シュート、パス、ドリブル、など)を行ったか、ボールがどの位置にありどのような展開か(どちらのチームのポゼッションか、など)を表すデータ206項目を含む時系列データを用いた。

[Twitterデータ]

サポーターのTwitterデータは、ツイート内容(本文、ハッシュタグ)、アカウントのプロフィール内容にサッカー関連用語やU-24日本代表選手名を含むかなどによる独自ツイート抽出ルールのもと、試合開催中の時間帯におけるツイートを公式APIによって取得し、次の条件によって試合と関係のないツイートをスクリーニングしたものを用いた。

■ツイートスクリーニング条件
以下の①②③のうち、いずれかを満たすものを分析対象とする。
プロフィール内容もしくはツイート内容に、U-24日本代表・Jリーグ関連ワードが含まれている。
ツイート内容に、U-24日本代表選手フルネームが含まれている。
ツイート内容に、呼称を含むU-24日本代表選手名、サッカー関連ワードが含まれている。

結果、本稿では63,478件のツイートデータを用いた。 

試合全体スタッツ

試合は2-1でU-24日本代表が勝利した。前半6分に訪れたチャンスを逃さずに先制すると、前半8分には前線からのプレスによってボールを奪取し、サイドで仕掛けることでPKを獲得。前半の早い段階で2得点を決めた。試合を通してU-24メキシコ代表のボール保持率は高かったが、 U-24日本代表は前線を含めてチーム全体での守備が機能しており、相手攻撃陣に決定的な仕事をさせなかった。それと同時に、良い守備から自分たちのチャンスに繋げることができていたようだ。一方で後半は、U-24メキシコ代表は退場者を出しながら、数的不利を感じさせない猛攻をみせた。後半40分、 U-24日本代表はセットプレーから失点を喫してしまったが、その後の谷晃生選手の好セーブなどによって、リードを守り切る形で試合終了。

試合全体のスタッツを見ると、ボールポゼッション、シュート、パスのいずれもU-24メキシコ代表がU-24日本代表を上回る結果となった。

※データスタジアム株式会社データより

最も盛り上がった時間帯は?

時系列(90分表記)に対する、ツイート数(オレンジ線・第一軸)とゴール数(青線・第二軸)をプロットしたのが下図である。
前半6分の久保建英選手のゴールシーンが最も多くのツイート数が計測された。その他、前半11分の堂安律選手のPKでの得点、前半21分の久保建英選手のボール奪取からのシュートシーン、前半22分の遠藤航選手のボール奪取~相馬勇紀選手のシュートシーンでツイート数が伸びた。後半においては、後半25分に獲得したFKと久保建英選手に対する期待感、後半48分のゲームをクローズする谷晃生選手のビッグセーブのシーン等でツイート数が大きく伸びた。

ツイートグラフ

Twitter上で大きな反響のあった選手は?

ツイート数がもっとも多かったのは久保建英選手であり、先制点のシーンで多くツイートされた。”強豪国からの先制”かつ"2試合連続ゴール"であったことが、ファン・サポーターのツイートを後押ししたのかもしれない。ついで、PKを決めた堂安律選手、スタッツには現れづらいが前線からの守備や味方との連携が光った林大地選手、ボール奪取からゲームメイクまで幅広い活躍を見せた遠藤航選手、複数のファインセーブを記録してチームを救った谷晃生選手となった。このように攻撃面だけでなく、守備面での貢献に対しても反響が大きい試合となった。

選手スタッツとツイート

遠藤航選手と一緒につぶやかれたのは…

ボール奪取やビルドアップを中心に活躍した遠藤航選手について、「遠藤」というワードと同時につぶやかれたワードをその多さに応じて円の大きさで表現したのが下図である。「いい」「すごい」「強い」などのワードが見られるが、特筆すべきは「笑」というワードで、「遠藤航、デュエル強すぎる笑」など、ボール奪取能力の高さに思わず「笑」ってしまう声が多く見られた。

「遠藤」ツイートデータ

谷晃生選手と一緒につぶやかれたのは…

GKとして出場し、多くのツイート数を記録した谷晃生選手について、「谷」というワードと同時につぶやかれたワードをその多さに応じて円の大きさで表現したのが下図である。特にゲーム終盤における、チームを救ったシュートセーブに関する言及が多く、「スーパーセーブ」や「いい」「神」などの好意的なワードが見られる。引き続き拮抗した試合展開が予想されるグループステージ第3戦以降もチームを救う活躍に期待したい。

「谷」ツイートデータ

強豪U-24メキシコ代表を攻略した日本の攻撃は?

前半におけるU-24日本代表のシュートに至った攻撃のボールの軌跡と、そのプレー中のツイート数を線の太さで表現したのが下図である。ゴールに至った攻撃は水色、ゴールに至らなかった攻撃は灰色で区別している。

1点目の軌跡を振り返ると、前線からプレッシャーをかけるU-24メキシコ代表に対して、林大地選手の中盤でのキープからファウルを獲得すると、すぐにリスタート。センターバック間でパス交換をしたのち、酒井宏樹選手にパスが渡ると、高い位置を取る相手の裏を狙ってランニングした堂安律選手にスルーパスを通して右サイドを崩す。最後は中央に走り込んだ久保建英選手にパスを出し、ゴールに繋がった。
他のシュートシーンでは、前線の選手で組織的にボールを奪取して素早い攻撃からゴールに迫るなど、組織的かつスピード感のある崩しが見られた前半の攻撃となった。このようなチームとして連動した仕掛けが次戦以降も重要となるだろう。

日本の攻撃方向(前半)>>

以上、U-24日本 vs U-24メキシコ戦のStats×Twitter分析をお届けした。

執筆担当:
篠田裕之、早川直輝、西巻佳祐

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