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オウンゴールはなぜ生まれるのか
2021.10.14

得点者欄において唯一選手名以外で記載されることを許された存在、それがオウンゴールだ。国外主催の大会においてはオウンゴールの選手も記載されるが、日本国内では選手名は表記せず「オウンゴール」として扱っている。

特定選手のゴールか、もしくはオウンゴールかの判断は公式記録の発表に合わせている(データ会社によってその判断は異なる場合もある)。Jリーグにおけるオウンゴールは、以下の2つが大きな判断材料となる。

オウンゴールの判定
・シュートではないボールに守備側の選手が意図的にプレーした場合
・シュートではないボールが偶然守備側の選手に当たった場合
※ゴールポスト・バーに当たって入った場合は、跳ね返りのボールに守備側の選手が意図的にプレーした場合はオウンゴールとなり、偶然当たった場合は攻撃側の選手の得点となる

上記にある「シュート」も公式記録の判断となるため、状況によっては難しい事例も多いだろう。

Jリーグにおいてオウンゴールはいくつ生まれたのか、下表にまとめた。

Jリーグのオウンゴールデータ

Jリーグが開幕した93年以降、J1、J2、J3全てのリーグ戦における通算オウンゴール数は998。全体の得点から見た割合は約2%で、約19試合につき1点生まれるペースとなっている。例外的に96年シーズンが多くなった以外では、特にJ1において2014年以降増加傾向にある点は興味深い。ちなみに単一試合におけるオウンゴール数は2が最多で、複数の試合で記録している。

より詳細を探るために2011年以降のオウンゴールのデータを見てみよう。

オウンゴールとなるボールタッチのマップと、オウンゴールの1つ前のプレー毎に数値を分けると下図のようになった。

2011年以降のオウンゴール詳細データ

多くのオウンゴールは相手のプレーが起因となって生まれる。その中で最も多いのがクロスだ。サイドからペナルティエリア中央に向かうパスの一種だが、状況によってDFは動きながらボールや相手選手の位置を把握しつつ、ボールが来た際には冷静にコントロールしなければならない。シュートのようなスピードを伴ったクロスもあるだろう。ゴールに近ければ近いほどクリアの難易度が上がるため、当然ながらオウンゴールの位置もゴールに近い距離が多い。

1つ前が味方のプレーの場合、多い傾向にあるのがクリアやブロックが当たってしまった事例だ。混戦時などで発生しやすく、多くの場合は避けられないケースと言えるだろう。

時にはバックパスやボールコントロールのミスにより生まれるオウンゴールもある。GKやDFもボールをつなぐことが増えた近年において、オウンゴールが少し増加したのはこの影響もあるかもしれない。「GKへのバックパスはゴールの枠を外す」という話はこういった事故を未然に防ぐためだ。

個人的な意見になるが、筆者はオウンゴールの選手名を明記しない現在の日本のルールに賛同する。得点者名は個人の試合記録の中で最も人の目に触れるものであり、試合は見ていないが得点者を確認するといったことも一般的な行動だ。そういった中、ほとんどのオウンゴールが「ミス」と言えない要因であるのに選手名が掲載されてしまうのは影響が大きい。また味方のパスに対して空振りなどで触ることなくオウンゴールとなった場合、オウンゴールの選手はバックパスの選手が記録されるという点も、パサーから見れば腑に落ちないだろう。オウンゴールに限らず1選手だけの責任で失点が生まれることはそう多くないため、オウンゴールの選手を明記しないことで、なぜその失点が生まれたのかの要因を探る意識が定着できれば、日本のサッカーの発展にもつながるだろう。

八反地 勇

2021.10.14
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