HOME » J1開幕直前!浦和レッズ2022 新加入選手スタッツ
2022年2月12日(土)には昨季のJリーグ王者川崎Fと天皇杯王者浦和がFUJIFILM SUPER CUPを戦い、浦和が2-0で完勝を飾った。2月18日(金)からはJ1リーグ戦も開幕。いよいよ今年のJリーグも、始まりの時を迎える。
今回は、昨季の天皇杯王者であり、今季の最初のタイトルを獲得した浦和レッズに注目。浦和が今オフ新たに獲得した戦力の「昨季Jリーグ出場時間」は合計で21281分となり、J1チームの中で最多となった(2/17までの移籍が対象)。新たに加わったJ戦士の「予習」として、昨季のJリーグで記録されたスタッツを中心に新加入選手それぞれの特徴を、一挙に8人分ご紹介する。

①岩尾憲 ←徳島
徳島から期限付き移籍で加入した岩尾憲の最大の特徴は、組み立てる力の高さだ。昨季記録したパス数は2620本でリーグ4位、MF登録の選手に限れば最多の本数となった。また、運動量も豊富で、ピッチのさまざまな場面に顔を出すプレースタイルも魅力。昨季の総走行距離は396㎞でリーグ6位、チーム1位を記録している。文字通りチームの中心となって多くの場面から多くのボールを供給し、絶大な存在感を発揮する選手と言える。さらに、味方のシュートへつなげる「お膳立て」も一級品で、ラストパス数(セットプレーを含む)は61本でリーグ2位、チームの年間総シュート数に対して自身のラストパスが関与した割合は16.4%でリーグトップに。徳島では「ピッチ上の指揮官」とも評されたが、数字の上でも彼を起点にチームが動いていたことが分かる。新天地でどれほど出場機会をつかむのか、彼の振るタクトによって浦和の攻撃陣にどのような化学反応が生まれるのか、今季の大きな注目ポイントだ。
◎2022年のFUJIFILM SUPER CUPでは中盤の一角としてフル出場。合計54本のパスを記録し、チーム内で最も多くパスを出した選手となり、初戦にしていきなり大きな存在感を示した。浦和サポーターにも、中心で「チームを回す」彼の姿が目に焼き付いたことだろう。
②松尾佑介 ←横浜FC
アカデミー出身であるアタッカーは、大学・J2・J1を経由し、ついに浦和の地に帰還した。左サイドでの出場よりも2シャドーの一角としての出場が多くなった昨季は、3得点1アシストとゴールに関与した数こそキャリアの中でも少なくなってしまったが(2019年はJ2で6ゴール5アシスト、2020年はJ1で7ゴール2アシスト)、得意のドリブルは健在。昨季は75回のドリブルを記録し、チーム内では2位以下の選手に大差をつけてトップとなった(2位は44回で高木友也)。加えて、2020年の「シュート枠内率52.9%」という数字が表すようにシュート技術の高さも申し分なく(2020年のJ1で30本以上シュートを放った選手の中でリーグ2位)、「リカルドサッカー」にうまく馴染むことができれば、さらなるブレークの可能性も高い。「アウェイ・埼玉」の地で2得点を挙げた試合のプレーは、浦和サポーターにとっても印象深いことだろう(マッチレポート)。
③犬飼智也 ←鹿島
興梠慎三以来となる「鹿島から浦和への移籍」を決断した、新たなディフェンスリーダー候補。センターバックに必要な能力をバランスよく備えているが、特徴として挙げられるのは「空中戦の強さ」、「攻撃意識の高さ」の2点だろう。昨季の「自陣空中戦数」は、出場90分あたり4.6回を記録。昨季の鹿島で500分以上出場した選手の中では、最も高い数値となった。また、攻撃面でも同様に空中戦の強さは発揮され、昨季挙げたヘディングゴールは4。J1全体でも、DF登録選手の中でトップタイの数字となった。また、攻撃意識の高さを表す1つのスタッツとして「縦パス数」を確認すると、出場90分あたり27.3本という数字を残し、チーム内1位となっている。昨季は負傷の影響もあり、1年を通して出場機会を得られなかったが(リーグ戦29試合出場)、出番が来た試合では確実にインパクトを残したと言えるだろう。攻撃意識の高さは「リカルドサッカー」との親和性も高いと予想され、今季が楽しみな選手だ。
◎2022年のFUJIFILM SUPER CUPでは守備固めとして終盤に出場を果たし、チームの完封勝利に貢献した。
④大畑歩夢 ←鳥栖
2001年生まれの若きレフティーで、「パリ世代」期待の星。同世代(2001年以降生まれ)の中でもJ1経験を多く積んでおり、昨季のJ1出場時間は同世代で6位だ(30試合1768分出場)。当たり負けしない強じんなフィジカルを持ち、昨季のタックル数は63と世代3位(90分あたりでは世代1位)の数字を記録した。また、攻守にバランスの取れた能力も持ち味で、クロス数は42本で同じく世代3位、シュートに至ったクロス数は同2位と、J1という舞台で確実に結果を残していることが分かる。新天地でもコンスタントに出場機会をつかみ取り、悲願のメダル獲得へ向けて成長を続けたい。

⑤松崎快 ←水戸
昨季J2で8ゴール6アシストと大ブレークを果たした「埼玉育ち」の若武者は、自身初のJ1チームとして「地元」でのプレーを選択した。積極的な仕掛けが最大の特徴で、昨季はドリブル数(131回でリーグ2位)、ドリブルからのシュート数(25回でリーグ1位タイ)といったスタッツを中心に鮮烈な印象を残している。また、ミドルシュートでゴールを狙いに行く姿勢も目立ち、PA外からのシュート数は38本で昨季のチームトップだ。国内最高峰の舞台で、どれだけ自らを売り込めるか。期待の1年となる。
◎2022年のFUJIFILM SUPER CUPでは後半途中から出場。2点リードという状況もあり、本職ではない1トップでの起用となったが、公式戦初戦で「浦和デビュー」を果たした。
⑥馬渡和彰 ←大宮
再びJ1での挑戦を決意した、J3からの「たたき上げ・サイド職人」。昨季のスタッツからは、クロスとFKキッカーの2点が特徴として挙げられる。クロス数は149を記録し、リーグで3位の数字に。FKキッカーとしては、特にシュート精度が光り、「直接FKでの枠内シュート数」はJ2でトップとなるなど(枠内7本:枠内率50%※2021年Jリーグ平均31%)、正確な右足に磨きを掛けた。大宮では右サイドのスペシャリストとして不動の地位を築いたが、当時徳島でリカルドロドリゲス監督とともに戦った2017年のスタートポジション集計を参照すればわかるように、左右どちらもこなせる器用さも売りで、左足でのシュートやゴールも多い。自身のキャリアにおいてJ1で定位置を確保したことはないが、さまざまな経験を積んだ今の彼なら、ひと味違う姿を見せられる可能性は高いだろう。
◎2022年のFUJIFILM SUPER CUPでは左SBとして先発出場。持ち味のセットプレーではFKからシュートを1本放ったほか、守備面でもチーム1位タイとなる4回のクリアを行うなど、攻守両面で一定の存在感を見せた。
⑦知念哲矢 ←琉球
沖縄育ちの左利きセンターバック。昨季は開幕から定位置をつかみ、27試合連続で先発出場を飾ったが、8月に大きな怪我を負い、リーグ後半戦の出場はかなわなかった。チームは彼の欠場直後から7戦6敗と大きく低迷してしまったことからも、存在の大きさを推し量れるだろう。プレースタイルとしては、ビルドアップ能力の高さが1つの特徴で、縦パス数(787本)、自陣でのパス数(1383本)はともにチームで1位となった。前述のように出場時間が限られた中でも、明確にスタッツを残したことになる。もちろん、肝心の守備面でもシュートブロックでチーム1位に輝くなど、能力は折り紙つき。新天地ではアレクサンダーショルツ、岩波拓也をはじめとしたセンターバック陣とともに、高いレベルの競争にさらされることになるが、伸びしろは十分であることを考えれば、スタメン争いに割って入る可能性は決して低くはない。
⑧牲川歩見 ←水戸
195㎝の体格を誇る、才能豊かなGK。昨季はJ2の水戸で40試合に出場し、守護神として1年間定位置を確保。セーブ数もリーグで3位となる105回を記録し、まさにJ2を代表するGKにまで成長を遂げた。今季同僚となる選手は各世代の日本代表を経験してきた西川周作、鈴木彩艶の2人で、J全体を見渡してもこれほどハイレベルなポジション争いはない厳しい環境といえる。それでも、新たに浦和のGKコーチに就任したジョアンミレッの下でもう一皮むければ、周囲の予想を裏切る大活躍を見せてくれるかもしれない。
文:増田 椋斗
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