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プレーのつながりをグループ化した「攻撃」データについて
2021.6.21

データスタジアムでは「攻撃」というデータを持っており、Football LABではチャンス構築率のデータ群の中で「攻撃回数」という数値も併せて紹介している。また、独自コンテンツである対戦予測シミュレーションチームスタイル指標、各種コラムにおいても攻撃の集計を使用しているが、ここでいう「攻撃」とはどういうもので、どういった傾向があるのかを紹介しよう。

下図は、とある試合の開始約1分間のプレー軌跡をまとめたものだ。キックオフチームのプレーを青、相手を赤で表示している。

とある試合の開始1分間のプレー軌跡

これを攻撃毎に分類していくと、下図のようになる。

1分間のプレーを攻撃毎に分類

このように同一チームにてプレーが連続しているものを1つの攻撃としてまとめている。セットプレーやプレーの連続チームが変わった際に新しい攻撃へと切り替わるが、ゴールキーパーがキャッチした後のプレーも新しい攻撃としてカウントされる。プレーによるが、⑤のように1回相手のプレーを挟んだだけでは切り替わらないため、例えばスローインから始まって相手のクリアによって攻撃が終わり、再びスローインとなった場合は同じチームの攻撃が2回続くこととなる。言葉の性質上、攻撃と聞くとゴールに迫った数のように思われてしまうかもしれないが、データスタジアムのデータにおいてはボール保持の1グループとして認識して頂きたい。

攻撃の開始はセットプレーとオープンプレーに分けられる。上図の例で示すと、①⑦がセットプレー(キックオフ、スローイン)、他のプレーがインプレー中に攻守が切り替わったケースだ。データスタジアムではインプレー中に攻撃が切り替わった最初のプレーを「ゲイン」とし、失った側のプレーを「ロスト」と定義している。これらのプレーはチャンスビルディングポイントの奪取ポイントでも活用されている。

攻撃開始プレー別の1試合平均回数

1試合当たりの平均攻撃回数はリーグによって異なり、Jリーグのカテゴリーが上がるとともに攻撃回数が減少するという分かりやすい傾向が出ている。以前のコラム「スローインからの攻撃とその評価を考察する」にて触れているが、セットプレーの中ではスローイン数の違いが目立つ。そしてオープンプレーの切り替わりの数も異なっており、1回当たりの攻撃時間が短いJ3の方が、攻撃回数が多くなっている。この図では全体の平均値のみを掲載しているが、攻撃時間の長さはボール保持意識によって変わってくるため、チームスタイルに大きく影響される。よって、攻撃回数の数値はチームの評価に関わるものではなく、多くの分析を行うための素となるデータと考えて頂きたい。

Football LABを開設した2012年から、この攻撃回数とシュート数を利用したチャンス構築率というデータを掲載しているが、さらにチームの特徴を分かりやすく捉えるために2017年に開発されたのがチームスタイル指標だ。この攻撃をいくつかの種類に分けた上で、その頻度を表した指数(回数を偏差値化)とシュートに至った割合をチームページに載せている。リーグサマリーページでも項目ごとに集計したデータを掲載しているので参考にして頂きたい。

FootballLABのチームスタイル指標の一例

攻撃単体だけではなく、前後を組み合わせることで分析の幅は広がる。例えば、弊社YouTubeチャンネルの動画「【サッカーのデータ分析基本解説!】今回はリゲインというデータ項目から切り替えについての分析を解説していきます。」にてアナリストの高橋が紹介している「リゲイン」というデータは、ロストで攻撃が終わった後の相手の攻撃を奪い返すことによってカウントされる。下図の事例だと、③がリゲインに当てはまる。

リゲイン事例

攻撃はチームが切り替わりやすいため、リゲインのデータは時間を区切って利用することが多い。下表は敵陣でのロスト後5秒未満で奪い返した割合のデータだ。プレーデータのみで判別しているため、個々の状況において5秒未満で奪える可能性があったかどうかの判別はできていない。状況によっては、奪いに行くことよりも引いて守る方を選択するケースももちろんあるだろう。それでもゴールに近いエリアで主導権を握りたいチームにとっては、重要なデータとなる。

リゲインデータ

もう一つ、下図のプレー軌跡は、自チームのコーナーキック攻撃がロストとなり、次の相手チームの攻撃で失点につながった事例だ。3年が経過しようとしている今でも記憶に焼き付いている方は多いだろう。

CKロスト後に被シュート

コーナーキック攻撃直後の相手の攻撃がそのままシュートとなるケースはそう多くはないが、2018年のワールドカップにおいて日本はこのシーンを含め、C K後の攻撃で計4本被シュートにまでつながれていた。これは大会内でも最多タイの数値だ。この表には強豪国の名が連なっているが、ベスト4に残った4チームは最も多い7試合を消化しながら0か1に抑えており、上位進出を目指す上で改善すべき数値と言えよう。

このように、攻撃のデータや攻撃の前後を利用したデータは、単体のプレーや成功率とは異なる課題や傾向を見つけ出すことができる。引き続きFootball LABからの発信にも上記を利用したデータが紹介されるだろう。その際はぜひ上記の内容を頭の片隅に入れた上で読み取って頂けると幸いだ。

八反地 勇

2021.6.21
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