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選手新指標開発P② ~チャンスメイクと関係がある指標は?~
2014.5.8

 前回のコラムでは、ゴールと関係の深い指標として、「シュート力」「決定力」「パスレスポンス力」を取り上げましたが、今回はチャンスメイクと関係がある指標について取り上げていきます。

 footballlabでは、以前から

「シュート数」÷「攻撃回数」=「チャンス構築率」
(チームの攻撃をどれだけシュートにつなげられるか)

「ゴール数」÷「シュート数」=「ゴール成功率」
(打ったシュートをどれだけゴールにつなげられるか)

の二つの指標をチームの特徴を示すものとして重視し、
「チームサマリー」の「チャンス構築率」タブで

「チャンス構築率ランキング」
「シュート成功率ランキング」

を紹介してきました。

以下の図は、2013年の「シュート成功率×チャンス構築率」の散布図ですが、

<右上:シュート成功率高×チャンス構築率高>
(カッコ内:2013順位:チャンス構築率:シュート成功率のスコア)
・浦和、鹿島、F東京、広島、川崎F

優勝した広島、ACL枠を獲得した川崎F、最後までACL争いに絡んだ鹿島・浦和など上位に入ったチームが入っている。ここに入っているチームはJクラブの中では攻撃がうまくいっているチームといえそうです。

<右下:シュート成功率高×チャンス構築率低>
・柏、清水、名古屋、大宮、鳥栖

 この5チームはシュートにつながる攻撃がなかなかできていないものの、少ないチャンスをわりあい効率的にゴールにつなげられるチームで、攻守の切り替えの早さ、カウンターサッカーのチームが多いです。

 このチーム群は「チャンス構築力」が課題で、2014年補強やチーム連携強化により、シュートチャンスをいかに増やせているかがこのチームの今シーズンの見所かもしれません。

<左上:シュート成功率低×チャンス構築率高>
・C大阪、新潟、磐田、仙台

 この4チームは比較的シュートチャンスは作れているものの、課題は決定力不足といえそうです。磐田が降格してしまったのはまさに決定力不足だったと言えそうです。C大阪は今年2010ワールドカップMVPのフォルラン選手を獲得して改善策を取ったように推測できます。

<左下:シュート成功率低×チャンス構築率低>
・横浜FM、大分、甲府、湘南

 この4チームは守備が堅く、優勝争いを演じた横浜FMは他の3チームの位置が離れているため、一緒にくくらない方がよいかもしれませんが、降格した2チームと同じ位置にいる甲府は守備が安定していたため、数少ないチャンスをものにして勝ち星を重ねていたところが湘南・大分と異なるところでしょう。
 
このように2つの効率指標を見てチーム状態を見ることで、チームの強み・弱みを把握できます。そして、シュート成功率向上のためには、前回紹介したゴールに貢献する指標の高い選手を獲得するのが一つの方法論だと考えられます。

 一方、チャンス構築率を向上するためには、まさにシュートチャンスを作れる選手を獲得するのが得策といえそうです。

<シュートに貢献する選手を測るチャンスビルディングポイント>
 そのシュートチャンスに貢献する選手を可視化するために開発されたのがチャンスビルディングポイントです。チャンスビルディングポイントの算出方法は「"What's CB Point"?」にて紹介しておりますので、そちらをご覧いただきたいです。ここでクローズアップしているのは、シュートチャンスを作り出すことに貢献した選手を別途記載してあるロジックで指数化し「パスCBP」「ドリブルCBP」「クロスCBP」を得点化して評価を行ってまいりました。

 今回の新指標開発にあたって、「パスCBP」「ドリブルCBP」「クロスCBP」が選手個人の「チャンスへの貢献」が高いかどうかを示す指標として有効かどうかを再検証するため、「アシスト数」と3指標との偏相関分析を行いました。

 結果は以下の通りです。3つの指標の中で最もアシストへの貢献度が高いのは「ドリブルCBP」で0.1707、次いで高いのは「クロスCBP」、そしてパスCBPは0.0189と関係がないという結果となりました。

 パスCBPに関しては、シュートに至った場合のプレーすべてに加点するルールとなっており、ボランチやサイドでビルドアップするタイミングでもパスCBPとしてカウントされるため、シュートにつながっても直接アシストにつながりづらいのが理由です。クロスやドリブルはそのプレー自体がそのままアシストにつながりやすいため、アシストとの相関が高く出たということでしょう。よって「クロスCBP」「ドリブルCBP」に関してはそのままPlayingStyle指標に採用しました。

 一方、パスでのチャンス貢献に関しては別途「パスチャンス力」と「ビルドアップ力」に分解して指標化しております。そちらは次回紹介していきたいと思います。

<PlayingStyle指標4:クロスチャンス力>クロスCBP
 アシストとの関連が深いクロスCBPをそのまま採用し、偏差値化したものを「クロスチャンス力」としました。ランキングトップ20が御覧の通りとなっております。これは昨季のクロスCBPと同様の順位ではありますが、簡単に触れていきたいと思います。

J1のナンバーワンは名古屋の田中隼磨選手。今季からJ2の松本に加入し、攻撃の中心選手として活躍しております。2位はF東京の太田宏介選手、3位は広島のミキッチ選手となりました。J2ナンバーワンはG大阪の藤春廣輝選手です。

<PlayingStyle指標5:ドリブルチャンス力>
 ドリブルCBPもクロスCBPと同様に偏差値化したものを「ドリブルチャンス力」としました。簡単に触れていきたいと思います。

J1のナンバーワンは川崎Fのレナト選手、2位は広島のミキッチ選手、3位は代表候補に選ばれた浦和の原口元気選手となっております。原口選手は今季すでに4ゴールを挙げており、サプライズ枠に入りこめるでしょうか。それ以外もドリブルチャンスランキングは横浜FMの齋藤学選手、C大阪の柿谷曜一朗選手など、日本代表候補がランクインしており、「ドリブルチャンス力」は代表に選ばれる上での必要条件なのかもしれません。なおJ2ナンバーワンは京都の駒井義成選手でした。

<ドリブルチャンス・クロスチャンスと得点パターンとの関係>
 ドリブルチャンス力とクロスチャンス力のランキングを見てきましたが、この2指標の高い選手が多いチームは実際に得点パターンとしてリンケージしているかどうか。これについて昨季のフィールドプレーヤー10人のスタメンにおける平均のドリブルチャンス力、クロスチャンス力と得点パターンを比較してみました。

 下の図はJ1に所属する18クラブのチャンス構築率と、スタメン10人の合計の1試合平均クロスチャンス力・ドリブルチャンス力と順位、各チームの得点パターンのシェアを見たものです。

 まず横浜FMは、クロスチャンス1位で、小林祐三選手、中村俊輔選手が中心となっています。ただ、クロスからの得点に関してはトップ5に入っていません。一方、ドリブルチャンスも3位に入っていますが、こちらは齋藤学選手と中村俊輔選手が中心で、実際にドリブルからのゴール比率は4位になっています。

 横浜FMはセットプレーが強みのチームでしたが、流れの中からの得点パターンに目を向けると、ドリブルによるチャンスはある程度結果に結び付いていたものの、クロスからのチャンスはそれほどゴールに結び付いていなかったということでしょう。実際、クロスに合わせられる選手が1トップのマルキーニョス選手しかいなかったことが攻撃上の悩みだったかもしれません。横浜FMはちょうど11節から2トップにシステムを変更しており、こういった数字のずれが影響しているかもしれません。

 クロスチャンス2位のF東京は、日本代表候補の太田宏介選手、徳永悠平選手を中心にクロスでチャンスを作っていたのですが、中央にいた渡邉千真選手がそれほどヘディングでシュートを打つ選手でなかったということもあり、そこまでゴールに結び付いていません。むしろ、ドリブルチャンス力は18チーム中8番目。ドリブルCBPランキング1位はルーカス選手で、個人の突破から点を取っていたチームということもいえるかと思います。F東京はそもそもショートパスでのゴールが最も多く、いろいろなパターンで得点を取っていたチームなのですが、クロスによるゴール率向上が見込めたかもしれません。

 ドリブルチャンス1位の浦和はドリブルによる得点比率がトップ5に入っていません。ドリブルチャンスの中心選手は原口元気選手で、昨季11ゴールを挙げていますが、ドリブルを起点としたゴール数をもう少し伸ばせられれば、チームとしてのチャンスを結果につなげられるのかもしれません。原口選手は今季も現在はドリブルCBPナンバーワン。ドリブルを起点としたゴールを量産し、日本代表に名乗りを上げられるでしょうか。

以上、新指標開発プロジェクト第2回のコラム~チャンスメークと関係のある指標は?~いかがだったでしょうか?思った以上にチャンスメイクのパターンとゴールパターンにギャップがあったことが意外な結果でした。クロスチャンス、ドリブルチャンスのチーム平均とゴールパターンのギャップを見ることで、現状の得点パターンの課題や、隠れていた強みなどが見いだせるようになると、今後のチーム分析やスカウティング時の課題を発見できるようになるかもしれません。

自分のひいきのチームの対戦相手のPlayingStyle指標から相手の攻撃パターンの中心選手や、狙い目などをプレビュー時に確認して見ると、また新たな視点で試合を楽しむことができるかもしれません。

なお、4月下旬から、各選手ページでPlayingStyle指標を表示しております。例えばこちらがレナト選手ですが、シュート力、パスレスポンス力、クロスチャンス力、ドリブルチャンス力の4つの指標で20pointとなっています。残りの指標は次回以降に説明していきたいと思います。

<関連記事>
・選手新指標開発P① ~ゴール数と関係のある指標は?~
・選手新指標開発P③ ~支配率に影響のあるビルドアップ力~
・選手新指標開発P④ 〜「敵陣空中戦力」を制する男「豊田陽平」と鳥栖の躍進〜


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